テレワーク時代の勤怠管理とは?

テレワーク時代の勤怠管理とは?

あなたの職場では、テレワークがうまく機能していますか?
今回、新型コロナの影響でもテレワークという働き方が急速に拡散しましたが、勤怠管理がうまく機能せず、離職を生んでいる例が出てきています。
普段やっていることを、テレワークでも行うというだけでも、働いている人の負担感や管理されているという感じは増してしまいます。
せっかくのテレワーク制度が離職を生むようなことにならないように、配慮を普段以上に意識しましょうというお話をご紹介します。

トイレに行く前にメールする謎のルール

「トイレ行く際に毎回メール入れないといけないんです」
もう転職を決めたという彼は、不満を隠すことなくぶつけてきた。
「普通に職場で働いてた時は、普通に声かけていくだけだったのに、何でメールなんてしないといけないんですかね。メールしているうちに1分我慢するみたいな状況で不愉快です」
「他にも、いきなり電話かかってきてWEBカメラの前で服装チェックさせられたりもしましたよ。どう思います?こっちは仕事しているのに、そんなことで仕事を止められて、結局家にいるのに仕事は捗らないんです」
「まだ上司には言っていないけど、辞めることはもう決めてて。こんな会社だとは思ってなかったな…」
彼からは、会社に期待を裏切られたような怒りと、失望が、転職を決める理由になっているようだった。
それは確かに嫌だな、と私も思った。
トイレに行く際に連絡するとか、刑務所のドキュメンタリーでやっていたなあなんて思うのだ。

テレワークは賛成だったのに・・・

「元々はどんな働き方をされるようなイメージだったんですか?」
「実は、テレワーク自体は私も推進した側なんです。通勤時間も1時間以上かかってましたし、持ち帰る作業もありましたから。家でゆっくり仕事ができる方が生活面でも都合がいいと思ってたんです」
テレワークを推進していたというだけあって、制度自体にはとても前向きな印象。
けれど、会社から意趣返しを食らったのだという。
「蓋を開けたら、実際は全然違ってた感じですか?」
「そうですね、テレワーク自体は思ったのと違ってなかったし良かったんですけど、前に比べてコミュニケーションがさらにめんどくさくなった気がします。コミュニケーションなんて別に最低限でいいと思ってたし、昼食を一緒に食べるなんてこともしたいと思ったことなくて。単純にいい制度だなと思ってたんですけど…」

管理はNG?働きやすさを考えて

「制度はいいけど、コミュニケーション面がNGだった?」
「コミュニケーションっていうか、管理されてる感がすごくてめんどくさい。進捗報告もチャットのような形でできるし、楽ではあるんですけどね。トイレとかまで管理するようなのが本当に耐えられなくて。だって普段は、ちょっとトイレ行ってきますで済むじゃないですか?上司に言うわけでもないし、誰かに言っとけば問題なく伝わる。こんなの当たり前じゃないですか?これをわざわざメールで連絡しろっていうのが自分には理解できなかったですね」
“わざわざ”というところに力強さを感じた。
「自分の送ったメールの履歴を見て、何で上司にトイレ行ってきますって送ってるんだろうって思っちゃうっていうか。文字で残るだけにすごくモヤモヤします。でも上司も大変ですよね。うちのチーム4人なんですけど、4人からトイレメールが来るわけでしょ?ばかばかしくならないんですかね…」勤怠管理自体は大切だ。だけど、限度があるだろう。
そういった言葉にならない不満を抱えているような気がした。

「管理されている感じが嫌だったということ?」
「そうですね、管理されてる感じが本当に嫌でしたね。うちは普段から席を立つときは声をかけるとか、タイムカードとか、服装とかある程度しっかりしようみたいな風潮は元々あったんです。でも、テレワークの時まで持ち出す必要ないじゃないですか。奴隷っていうと言いすぎかもしれないけど、やりすぎ。馬鹿にされてる気分になりません?」

「対面で行われてた服装チェックや勤怠管理を、全部テレワークにも持ち出されたのが違う感じということでしょうか…」
「そうです。そもそも会社で仕事するのと、テレワークって全然違う仕事形態ですよね。それなのに会社と同じようにしようとされても本当に困ります。会社の中で仕事をするのと、普段の生活の中で仕事をするのだと全然違うんですよ」

制度はいつも働く人目線で

もちろん、彼にできることは他にもあったと思う。
けれど、それをするより別の会社に行きたいと感じるようになってしまった。
ここでのポイントは、「私生活への配慮」にあると思う。
テレワークというのは制度上、大きく私生活の中に踏み込んでくることが想定されるもの。
あなたの職場のテレワークはうまく機能していますか?
報連相を大切にするあまり、プライベートに過干渉していませんか?
これに答えられるのは、働いている社員さんだけです。
制度は常に、社員のみなさまの仕事と生活を充実させるためにあることを忘れないようにしていきましょう。

投稿者プロフィール

木村 俊夫
木村 俊夫
自信が無くて引きこもっていた自分が前に進めたきっかけは「聴いてくれる人」でした。大学卒業後から起業し「聴く」ことをベースに活動をしています。教育、面接、マネジメント、カウンセリング、講師と様々な複業の実践家でもある。
現在は「カウンセリング」の良さを広げる伝道師として活動を続けている。