Lineでケンカする人へ。

Lineでケンカする人へ。

Lineだと冗談が通じない。
何が起きているか分かる分、現実のトラブルの方がまだいい。
なぜかLineで始まった不協和音は、気づかないまま一方的に進行し、しこりを残して終わることが多かった。

4年ほど前の話だ。
みんなでオフ会しよう。ディズニーランドに行こうという話をLineでしていた。
「チケットは任せていい?」
「じゃあホテル一緒に探そうか~」
元々はネットゲームを通じて知り合ったから話題も合う。
誰かが何かの話題を振れば、絶対誰かが乗ってくる。
和気あいあいという表現が似合う仲間だったと思う。
そんな時、一つの事件が起きた。

「ねえ、まじめな話の時に茶化すんやめな」
Aさんのこの一言で、場は凍り付いた。
活発に予定を話し合っていたグループの中での発言が、一切されなくなった。

茶化す? 茶化してた人いた……? 
内心、もしかして俺? なんて気が気じゃなかった。
結局、Bさんが
「とりあえず続けようやw」
って、場を収めたから、準備もオフ会当日も特に問題なく終わった。
ただ、Aさんだけは楽しそうにしていたけど、宿に帰ってからも自分から話題を振ったりすることはなかった。

オフ会の後、気になってAさんにあの準備のことを聞いてみた。
「あの時、なんかあったん? もしかして俺が失礼なことしてたらほんとにごめん」
そうしたら、Aさんは
「いや別に君が悪いわけじゃない。むしろBが空気読まないから腹が立って」
「みんなさ、まじめに準備しようとしてるのに、あいつだけへらへらへらへら茶化して、何をやるでもない、手伝うでもない……意見すらまともに出さない。そうしてるうちに、なんかまじめに話をしてる自分にもイライラしてきた」
「大したことじゃないけど、あいつの発言見てるとスタンプやwばっか並んでて見てて茶化されてるようにすごい見えるんだよね」
「遠方から来る人もいるからーなんて言ってるそばから、今から1日2食やなwとか、日程決めてるときに、飛行機ならいけんじゃね?wとか言ってるのってなんか腹立つわ。」
「とりあえず続けようやwの前のスタンプ連打もバカにしてない? 俺はBに言ったのに、Bは気づかないし仕事したみたいに満足そうでまじくそやわ」
「Bに悪意とかはないとわかってる。わかってるからこそむかつく」

言われてみれば、確かに。
そう思った。
私も以前、Lineのやり取りで意識の差を感じた経験がある。
2年ほど連絡を取っていたのに、全く仲良くなれた気がしない人がいた。
むしろ、ずっと壁を感じていた。
その人は、常に敬語だったし、既読スルーも多かった。
飲み屋の話をしている時も、面白い話をしている時も基本的に敬語だから、内心いやいや付き合ってくれているのかなと思ったことがあった。
でも、一度実際に会ってみたら、全然イメージと違っていた。
スマホに慣れてないだけで、心からいい奴だと思った。

私たちは普段のコミュニケーションでは、五感をフルに使ってコミュニケーションを取っている。
見えるものだけでなく、感じるものがいくつもある為だ。
まず、場を感じることができる。
会議なのか、飲み会なのか、自宅なのかで感じるものは違ってくる。
そして、出会ったその人からもたくさんの情報を感じる。
顔色を窺ったり、声色で判断したり、身振り手振りや、アイコンタクト、笑顔1つ取っても、引き笑いなのか爆笑なのか、失笑なのか。
言葉を真に受けず判断できるのも、五感をフルに働かせているからだと思う。

しかし、Lineは違う。
文字とスタンプでしかコミュニケーションが取れない。
挨拶一つとっても、「おはようございます」にするのか、「おはよう~」なのか、スタンプで返すのか決めなくてはいけない。
目の前に人がいない分、より想像しないといけない。
実際に見えない顔を想像し、どんな場面で知り合った人なのかを考え、自分はその人にとってどんな立場の人だと思われているのかを考え、それでようやく、どんな挨拶にしようか考えることができる。

だからこそ、いつもより少しでいい。
相手のことを考えながらコミュニケーションを取っていく必要があるんだと私は思う。
文字を通して、自分の状況や、相手との関係、今の気持ちを伝えながらコミュニケーションを取っていかないといけない。

そういう意味では、(笑)や、wや、スタンプはとても便利だと思う。
気持ちや自分の立場をより伝えやすくするものだから。
(笑)を使っていい関係なんだ。
スタンプで返していい関係なんだ。
というのを、発信できる。

お互いが一方的な発信にならないように、(笑)やスタンプを使いこなせた時、Lineを通じて今よりもっといいコミュニティが生まれていくに違いない。

私と話し終わったAさんは一言
「準備が終わるまでBにスタンプやwを辞めて欲しいって言えばよかった話なんやな」
と呟いていた。