配慮が実は偏見だった?!

配慮が実は偏見だった?!

こんにちは!キャリアカウンセラー(キャリアコンサルタント)の川楠です。
職場では今、ダイバーシティという言葉も当たり前になり、多様な方々が活躍されていますね。子育て中の女性、障がいを持った方、シニア、外国籍の方、病気治療中の方などなど・・
 様々な方が活躍できる職場というのは、多様な視点が持てる、多様なニーズをつかみ対応できる力を持っているなど、変化の多い世の中に頼もしい存在です。その効果を実感し、積極的に取り組んでいる企業も多くなったと感じます。

そして国でもそれを率先しようと、法律などでも推進しています。
ただ、ここで強制力なども入り、会社としてもやらなければならない、支援しなければならない・・となると、周囲(特に管理職を中心として)に無理なプレッシャーや配慮が生じるようです。よくある相談例として、少しアレンジを加えてご紹介させていただきます。

Aさんは30歳の女性。IT企業でSEとして活躍。プロジェクトリーダーも務めるほどに成長し忙しい毎日を過ごしながらも結婚して出産もされます。1年の育児休業も取得して戻った際に、育児との両立は大変だろうからと、リーダー職を解かれます。そして同じチームでありながら、後輩がリーダーとなり、Aさんが任された仕事は新入社員と同じ内容でした。

Aさんは、時短勤務も利用していますのでリーダーは難しいと考え、それは仕方がないと受け入れています。会議も延長が当たり前なので、時短社員は出席しなくて良いと言われ議事録で状況確認をするようになりました。
 それから1年、仕事内容はそのまま、議事録で確認しても変更などで情報についていけないことから、今は指示されたことをこなしていくといった日々でした。
 そのうちに、Aさんは、なんのために私は仕事をしているんだろう、子どもなんて産まなければよかった・・と後悔するようになり、キャリア相談にいらっしゃったのです。

相談ではこんなことが語られました。
職場では子育てを応援してくれる一方、これは難しいから・・時間がかかるから・・要件変更が多そうだから・・と仕事内容の選別があり、新人の時と同じ仕事内容に限定されてしまっている。今の私は成長どころか後退している感じしかない。確かにラクだけど、やりがいを全く感じない。子育てとやりがいを両方求めるのは贅沢だし、周囲には感謝しなくてはと思うのだが・・と涙ぐんでいらっしゃいました。

似たような話は、Aさんだけではありません。
実は私も前職でそうでした。遅い出産でしたので課長代理までやっていた私でしたが、復帰して部署異動となり(これは私も承諾)ました。その時、人事の担当者から「この仕事は楽だよ」といわれ、着任先の上司から「何事も無くで構わないから」ともいわれ、聞けば聞くほど「ああ、私は期待されていないんだ」と悲しくなったのを思い出します。

両立のために「ラクな仕事を」というのは本当に「その人のため」なのでしょうか?もちろん、時間という制約はあります。
それは「時間」ということだけで、仕事の難しさや質などとは違うのではないのでしょうか?そして、Aさん同様、この不適切な配慮のせいで、成長やチャンスを逃したり、周囲からお荷物扱いされたり(本人は望んでいないのに上司が勝手に仕事を変える)、などの問題が起こっているのです。

この不適切な配慮のことを、アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)といって日本だけではなく世界中の問題となっています。
子育て中の彼女のために、良かれと思ってした事が、実は偏見からだったとは!
これはもちろん子育て中の女性にだけではなく、様々なところでありそうです。
さあ、皆さん思い当たることは無いでしょうか?

ここに面白いサイトが紹介されています。
アンコンシャス・バイアス度のセルフチェックです。世界で1600万人以上の人が受けています。日本語版もありますのでぜひトライしてみてください。
https://implicit.harvard.edu/implicit/japan/