コロナの不安?会社の不満?

コロナの不安?会社の不満?

「ちょっと聞いてみましょうか」
私たちの面談サービスでは、普段から様々な業界の方と面談をさせて頂いています。
新型コロナの流行を受けて、クライアントさんから集めた現場の声を集めてみました。
※加工・編集を行いプライバシー配慮した記事となっています。

「店舗に来る方がめちゃくちゃ減ってるのに、目標っていうかノルマだけはそのままある。3月末の達成なんて無理に決まってる。そもそもこのまま人が来なかったらどうなるのかも不安だけど、自粛自粛っていう割に職場と家が近いってだけで何で私だけが出勤しなくちゃいけないのかわからない。イライラする」
40代 女性

「うちの会社はテレワークでいいっていうけど、結局自分の仕事は会社に行かないとできないし、不公平。コロナ出勤手当でも出してくれればいいのに」
30代 男性

「不要不急の外出を控えるとか、活動を自粛しろとかいうけど、仕事はやれっていうのは結局責任転嫁。私は営業だから会わないと始まらない。病気になったら自粛しなかった俺に責任があるって絶対言うでしょ。もし言われたら辞めるよ会社。コロナで超絶ブラックが浮き彫りになるかも」
20代 男性

「うちの子はまだ小さいし、小学校が休みになったもんだからパートしてても気が気じゃない。マスク必須、花粉症なのにくしゃみしただけで避けられる気がするし、店舗の意見箱にはくしゃみする社員は休ませろとか投稿あるしなんなのって思う。小さく張り紙するだけじゃなくて、もう少しお客様に店としての方針とかわかりやすく伝えてくれればいいのに」
30代 女性

以前から溜めていた不満が爆発している

ここからが興味深い。
面談で上記のような話を聞いた際、重ねてこのように私は問いかける。
「それは、コロナが起きる前にはなかったの?」

そう聞くと、今のところ100%こう返ってくる。
「いえ、前からです」
「扱いが自分だけ違うなって思ったことは過去にもあります。便利屋みたいな扱いだと思う。上司もいない、他の人もいない職場に行くように言われて他の人は特別休暇扱いだったらしいんです。ひどくないですか?」

もうこの時点で、コロナの不安ではなく、会社に対する不満や不安になっている。
今回のコロナの流行がきっかけで、溜めていた会社に対しての思いが今まで以上に言葉になって現れてきている。

「会社は何もしてくれないし、テレワーク暇だから転職エージェントに登録しました」
そう語った人も実際にいるほど、将来の不安が現場には溢れている。

会社としての対策とホンネ

私たちは経営者や取締役の方の面談も行っている。
例えば、こんな声がある。
「うちは10人の小さい会社だから常に濃厚接触だし、かといってテレワークなんてできないし、みんななんか上の空でピリピリしとる。取引先の対策の話とかも聞こえてくるしどうしたらいいのか」
60代 中小企業経営者

何かしたくてもできないもどかしさ。
うちと他社は違う。だからこそ自社でどうしたらいいのかわからない。
「何かしなきゃいけない…けどできない…強くあらねば周りも不安になる…でも不安なものは不安だ…」
こんな思いは経営サイドにいる人間としても、個人としても、とても良く分かる。

対して、
「うちはもう小さい会社だから、3月末まで自由出勤にしたよ。自主的フレックスタイムみたいな。パートさんも小学生の子どもが多いから一斉休校で家も空けられないし、病気も不安だっていうから。業界としてまだうちはやっていけてるけどこれからどうなるかは気になるところだよね。うちは小さいところだから人が抜けるとそれだけで困るのよ。それに、うちの転職ってなると業界を変える人が多いじゃない?うちの業界ってそんなに広い業界じゃないから、一人でも出ていって欲しくないっていうのも思うんだよね」
と、いうようなことをいう方もいる。

どちらの方も社員さんの思い、生活、業界、会社を考え抜いている。
ただ、両者の違いは、自分だけで考えるか、みんなの思いを踏まえて考えたかの違いだと思う。

もし、自社として何をすればいいのか悩んでいる方がいらっしゃるなら。
「社員さんはどんな悩みをお持ちかとか、どんなことしてほしいとかってご存知ですか?」
と、自分に問いかけてみて欲しい。

仕事も生活も扱えるのがキャリアコンサルタント

もちろん、悩みや不安の中には仕事とは関係ないことや、会社にはどうしようもできない悩みも数多くある。
家族のことや病気になったらどうしようという心配、既往症があるからこその心配もある。
子どもの進学、新社会人になった我が子が内定保留になっている不安。
田舎の祖父母に思いを馳せる方もいれば、医療関係者であるパートナーの体調が気になる方もいる。

私がキャリアコンサルタントで良かったなと思う瞬間はこういった様々な話を受け止められるところにあると思う。
キャリアコンサルタントが取り扱うのは、一人ひとりの人生そのもの。
仕事の面からも、生活の面からもアドバイスできることが本当に活きていると思う。

そして、相談に来た方は最後にだいたいこういってくれる。
「来てよかった」
面談サービスを展開して良かったなと思う瞬間だ。

「自分の思いを言葉にするだけで、すっきりするってあるんですね」
「ものすごい不満だったけど、話してるうちになんかどうでもよくなりました。もちろんいい意味でですよ」
そんな言葉がたまらなくうれしいし、その人の為になっていると実感できる。

普段なら対面で1時間行っている面談だけれど、今は世相を考慮してメール相談や電話相談、zoomでの面談といった様々な手段で不安と向き合っているのが現状だ。
いつでもどこでも面談ができるシステムはとてもすばらしいと思う。
「録音や録画は不安かも」
そんな不安を口にして下さる方もいる中で、カメラに近すぎて変な顔になって苦笑する時間が、とても良いアイスブレイクになる。
音声が入らなくて一緒に考えて解決したときに、何となく得られる一体感がある。
面談が始まる前から共有できる小気味良い感覚も、zoomならではだと思う。

一人ひとりに寄り添い、一人に一人のカウンセラーがいるような世の中をつくる。
そんな思いのもと、これからも様々な手段でホンネに向き合う日々が続きそうだ。

周りがやっているから自社でも行う対策と、社員の生活や思いを踏まえた自社なりの対策
どちらも対策に違いはありません。
コロナ不安が収まった後、ブラック企業だったというレッテルに繋がらないように、私たちも日々最高を尽くす必要があると心から思います。
そうならない為に、今から御社の社員の方にも「ちょっと聞いてみませんか?」
働く人への配慮が、社会へのアピールになる時代です。

投稿者プロフィール

木村 俊夫
木村 俊夫
自信が無くて引きこもっていた自分が前に進めたきっかけは「聴いてくれる人」でした。大学卒業後から起業し「聴く」ことをベースに活動をしています。教育、面接、マネジメント、カウンセリング、講師と様々な複業の実践家でもある。
現在は「カウンセリング」の良さを広げる伝道師として活動を続けている。