【第5回】部下に5月病の症状が現れた時の対処法

【第5回】部下に5月病の症状が現れた時の対処法

全6回でお送りしています。
今回は5回目!
ついに後2回になりました・・・。
自分だけならともかく、周りがどうもやる気が出ない・・・。そんな傾向の時ってありますよね。
今回は、「部下に症状が現れたら?」というテーマ。
「部下への対応/対処」という観点からお届けします。

【第1回】そもそも5月病って何?
【第2回】5月病になりやすい人の傾向
【第3回】気持ちを保つためには?
【第4回】気持ちがモヤモヤしている時の対処法
【第5回】部下に5月病の症状が現れた時の対処法
【第6回】これから起きる「やる気が出ない」時期とは?

5節 部下に5月病の症状が現れた時の対処法

◆部下・後輩から、「5月病」のような雰囲気を感じたときの接し方

そういう雰囲気を感じた場合、接し方を考える前に、職場で起きている問題を洗い出してみて下さい。
それは、なぜ「やる気がない」ように見えるのかを考えるということです。
「やる気の低下」といった雰囲気を感じたという場合、単純に雰囲気ではなく事実として職務に何か影響が出ている場合が多いですし、事実に基づいて「やる気がない」と判断しているはずです。
例えば、研修への参加態度が悪いとか、報連相ができなくなったとか、遅刻が増えたとかそのような事実に基づいて「やる気の低下」を感じている場合が多いのです。
このような事実を認識したうえで、声かけをしていきましょう。
声かけは、できるだけ自分の言葉で心配を伝えることを心がけて下さい。
例えば、「最近連絡が遅くなっているから、何かあったのではととても心配に思っている」や、「5月に入って遅刻をするようになっているけど、体調不良や何か事情があるなら力にならせてほしい」といった感じで、このような事実があって私はあなたのことがとても心配なんだ。ということを伝えてあげてください。
責めるのでもなく、解決策を与えるのでもなく、今を受け入れてあげることが大事だと私は考えています。

◆絶対にやってはいけない接し方

一方的に責めたり、人格を否定するようなことはやめましょう。
一方的に責めるというのは、「みんなはできているのになぜおまえはできないのか?」といった指摘や、「ちゃんとしろ!」など、本人もそう考えているようなことを指摘することを指します。
なぜできないのかを問われてもわからないから足踏みをしていることもありますし、ちゃんとしたいと既に自分を責めているときに相手から追い打ちをかけられるとますます追い込まれてしまうということもよくあります。
責めるという行為は、自分の都合や自分の評価を相手に押し付けるという面もありますから、相手のことを考えない接し方と言えると思います。
また、人格を否定するようなことというのは、「お前はやっぱりトロいな。」といった発言を指します。
度が過ぎるとパワハラ認定がされる可能性もある為、本当に注意が必要です。

もし、トロいなという指摘をしたいと頭をよぎったらどうしたらよいのでしょうか。
私はまず、トロいと考えるに至った事実を考え、その上でポシティブに捉えてみて下さいとお伝えしています。
例えば、仕事一つ一つの完了が遅く、研修の場でも常に課題を時間内にこなせないという事実があったとします。
しかし、この事実から考えられることはトロいというネガティブな評価だけでなく、丁寧な仕事をすることが信条であり、ミスが少なく完成度の高いものを仕上げることのできる人なのかもしれないというポシティブな面も必ずあります。
このように、絶対にやってはいけない接し方としては、相手を受け入れない態度というのを私は一番注意してほしいと考えています。

◆「5月病」をこじらせて離職したいという話になった時は?

辞めたいと言ってきたとしても、事情も聴かずに受理したり、むやみに引き留めたりはしないことをお勧めします。
それは、重要なのは「なぜ会社を辞めたいと考えるに至ったのか」であって、会社を辞めるかどうかの単純な問題ではないことが多いからです。
4月を一生懸命過ごすうちに、人間関係の不安や、仕事上での得手不得手が明確になってくる場合も多いです。
ただ、それがうまく表現できずに「辞めたい」という発言になってしまったというケースもとても多く感じます。
本当に実現したいのは、辞めることではなく全く合わない上司をどうにかしてほしいという話だったり、配属先での仕事があまりにもできず、前の仕事に戻りたいという話だったりと、本心が別のところにあることが意外とあるのです。
ですから、辞めたいと言ってきた人に対しては、その思いを一緒に紐解くような関わりをしてあげるのが望ましいです。
現場では当然仕事をしながらですから、時間も限られています。
ですから、せめてその人の言い分を聞いて受け止めてあげる関わりはできると良いかと思います。

また、もしかしたら体調やメンタル面での不調を疑うケースもあるでしょう。
「やる気がでない」という抽象的な症状でも、医者としては適応障害や不安障害といった診断を出す場合も多いです。
もし、メンタル不調で辞めたということになれば、企業イメージに傷がつく事にもなりかねません。
例えば、最近寝れているか?といった単純な質問でも、心の健康状態を図ることはできますから、常にメンタル不調や体調も意識した関わりができると良いと思います。

次回は?

いくつかの事例に分けてお伝えしましたが、今の時期だからというものではありません。
最後のテーマは「これから」
モチベーションを意識することになるのは、今だけではありません。
これからの社会人人生を豊かに過ごしていくために一緒に確認していきましょう!

投稿者プロフィール

木村 俊夫
木村 俊夫
自信が無くて引きこもっていた自分が前に進めたきっかけは「聴いてくれる人」でした。大学卒業後から起業し「聴く」ことをベースに活動をしています。教育、面接、マネジメント、カウンセリング、講師と様々な複業の実践家でもある。
現在は「カウンセリング」の良さを広げる伝道師として活動を続けている。