パワハラ・セクハラのグレーゾーン?

パワハラ・セクハラのグレーゾーン?

ハラスメントは「人権侵害」

「嫌だと思ったことに、“ハラスメント”を付けたら、新しいハラスメントの誕生だ」
以前、面談の現場で聞いた一言。
ハラスメントという言葉の露出が増え、ますます一般的になっているのはいいことですが、危機感が薄れているケースをよく見かけます。
しかし、パワハラが法制化されたりする中で、ハラスメントの防止というのは避けられない動きと言えるでしょう。
しかし、なんとなく使っているだけで分かろうとしていない方もいるのが事実。
・離職されるとまずいから
・訴えられたら負けるから
・自分の責任問題になるから
こんな理由でハラスメント研修を受けている方すらいるのが現状。
ハラスメントは人権侵害である。
この大前提をぜひ、忘れないでください。

ハラスメントのグレーゾーンとは?

グレーゾーンとは何か。
そもそもグレーという表現は、「法律違反か否か」という文脈で使われているケースが多い。
訴えられて負けそうなら黒、訴えられても勝てそうなら白。
判断に迷うのがグレー。
例えば、ハラスメントかどうかの判断が分かれるような言動であったり、今回のケースではハラスメントとは言えないと考えることもできる言動であったりすることが多い。
ハラスメントかどうかの判断は、何を言った・やったという判断ではなく、状況や必要性、緊急性が大きく影響してくるということから、グレーゾーンというものが生まれてしまう。

グレーゾーンに陥りやすい人

キャリアコンサルタントとして様々な人に話を聞く中で、グレーゾーンの議論に陥りやすい人というのが3パターンあるような気がする。

一人目は、マウントを取りたがる人。
このタイプは、常に誰かを評価したり決めつけたりしてしまいがちな人です。
面倒見がいいタイプと言える人も多くいるのは事実ですが、不必要な一言を添えているケースも。
・Aさんは、いつも人の話を聞かないタイプだからなあ
・Bくんはまだ彼女いないから分からないだろうけど・・・

二人目は、パフォーマータイプの人
このタイプの人は、基本的には場の盛り上げ役。
楽しいことを優先したり、場の空気が沈むのが苦手な人。
・思わず下品なことを言って場を盛り上げようとしてしまった
・誰の真似だとは言っていないが、「~であります」と語尾に特徴がある人の真似を職場でした

三人目は、コミュニケーションを義務だと思いこんでいる人
口下手だったり、口数が少ないタイプだったり、普段あまり話をしない真面目なタイプの人が話題づくりを頑張った結果だなあと思うことがよくあります。
自分の失敗談で笑いを取るのではなく、人のうわさなどを取り上げて話をしてしまうから
・Cさんは、愛人顔だって聞いたけど、もしかしてほんとに?
・D君ってネズミ嫌いなのにディズニーは好きなんだって?

本心で何を思っているかまでは察するしかないが、数多くの人を見てきた中で、本当の意味で傷つけることを目的にしていた人はいなかった。
ただ、彼らの思いは相手に伝わらず、ハラスメントだと言われてしまった。

いじりはいじめ。気を付けて。

上記の3人に共通して言えるのは、誰かを対象にして話題を作ろうとしていること。
俗にいえば、「いじり」をして話題を作っている状態といえる。
いじっている人は、いじられている人が本当に傷ついていないという保証をどこから得ているんでしょうか。
小さい会社で良く聞くのが、リファラル採用した知り合いを、社長がいじっているようなケース。
いじられている側からしたら、毎日がつらくて仕方がないということもある。
「コネで入れてもらったんで我慢してますけど、正直つらいです」
そんな声は本当に数多く聞いている。
まさに誰にも言えない。
つらくて苦しい心境をやっと話せたのが、カウンセリングの場だったという。
「普段は、できるだけ皆の前に出ないようにしている」
「テレワークなのは一つの救いだと思っている」
そう語る彼は、転職を考えていた。

そもそもの話だが、私は、ハラスメントにはグレーゾーンなんて無いと考えている。
パワハラの定義からすれば、優越的な地位にいない人の発言であれば、パワハラではないなのかもしれない。
だが、ハラスメントはグレーであったとしても、人権の侵害として侮辱や名誉棄損とされてしまうような状態ももちろん考えられる。
グレーゾーンが議論されている背景には、少なからずそれはハラスメントだろうという考えを持っている人いるということ。
言い換えれば、その行為を「嫌がらせ」だと判断している人がいるということだ。
「嫌がらせ」である以上、ハラスメントに違いない。
従って、法の救済があるかないかの議論よりも、相手に不快な思いをさせているかどうかをしっかり考えたほうが有益なんじゃないかと考えている。

再度になるが、ハラスメントがどうかを考えるより、相手のことを考えてみて欲しい。
どんな反応をしているか。
どんな表情か。
普段の様子が変わったりしていないか。
相手にしっかりと向き合いながらキャリアを積んでいきましょう。

投稿者プロフィール

木村 俊夫
木村 俊夫
自信が無くて引きこもっていた自分が前に進めたきっかけは「聴いてくれる人」でした。大学卒業後から起業し「聴く」ことをベースに活動をしています。教育、面接、マネジメント、カウンセリング、講師と様々な複業の実践家でもある。
現在は「カウンセリング」の良さを広げる伝道師として活動を続けている。