「私って働きすぎ?」カウンセラーが教えるケース事例

「私って働きすぎ?」カウンセラーが教えるケース事例

「最近働きすぎじゃない?」
友人から一言言われて、気になったことありませんか?
同じ部署の仲間の働きぶりは見ているから分かるけれど、他部署の友達や他社の友達の働きぶりは自分ではわからないもの。
本当に「働きすぎ」なのかしっかりとチェックし、ワークライフバランスを大切にした働き方を見つける方法を一緒に見つけましょう。

■そもそも「働きすぎ」ってどのくらい?

一番なじみの深い、「残業時間」から見てみましょう。
日本人の平均残業時間は、令和2年4月時点で10.4時間となっています。
一方で、コロナ前の令和元年10月の平均を見ると、12時間が平均となっていますから、残業時間は社会情勢に大きく影響しているといえるでしょう。
しかし、これはあくまで業種で見た平均値。
職種で見た平均値ではないことに注意が必要です。
例えば、事務職に就いている方であれば平均30~40時間が平均といわれています。
もしあなたが80時間以上残業をしていたとしても、所定時間内でおさまっている人が業界内に多ければ多いほど、平均残業時間はデータ上減っていきます。
残業は、数字の平均を見るのではなく、実際に職場で行われている残業時間を把握し、自分にとってどの程度負荷があるのか考えることが大切です。
体を壊してから悔やむケースは、今も数多く聞いています。

■働きすぎかチェックする方法ってあるの?

働きすぎには個人差があると考えます。
自分が働きすぎているのかどうかは、残業時間との比較では測れないと私は考えています。
ここでは「働きすぎ」だと自覚があったり、周りからそう言われてカウンセリングにお越しになられた方の声からの傾向として分析してみました。

(1)休みでも仕事のことが頭から離れない
休日に、ふと仕事のことが思い浮かぶことがある人は要注意。
思い浮かぶだけに留めておけば良いのですが、少しだけでも手を付けておこうと考えてしまうと「働きすぎ」に近づきます。

(2)深夜にPCを開いてしまうことがある
リーダーや、フリーランス、時短勤務をしている人にありがちです。
寝る前にメールの確認だけでも…なんて思っていると、思わぬトラブルに出くわして寝る時間を奪われることも。
全てのメールを開くのではなく、しっかり優先順位をつけるようにしましょう。

(3)常にスマホをチェックしてしまう
テレワークの方に多い現象です。
「いつ連絡が来るか分からない」という心がけは良いのですが、トイレに持って入ったり、お風呂でもスマホを見ていたり。
リラックスの時間と仕事の時間が常に同じだと、働いているのか気を抜いているか分からなくなり、「働きすぎ」の危険が。

(4)依頼された仕事を断らない
転職したり、再就職したりしたばかりの人にありがちな傾向です。
仕事を覚えたくて頑張る時期なのはとても分かるのですが、頼みやすい人になってしまっていることも。
「断らない人」から、「断れない人」に、ならないような心がけが大切です。

(5)提出締切ギリギリに仕事を終える
仕事を追い込む際にパフォーマンスが上がるという人に当てはまります。
できてしまうからこそ、締切を抱えてしまう。
結果、毎日が締切となってしまって、「働きすぎ」まっしぐらという人も実際にいます。
力を発揮できるからといって、数多くの締切を抱えないようにしましょう。

■私たちが働きすぎてしまう原因

(1)働くことが生活の中心になっているから
テレワークが盛んになっている今、よく聞く傾向です。
生活の中心に「仕事」がある状態なので、境目を見失ってしまって働きすぎとなっています。

(2)仕事が好きだから
仕事が好きだと言える人、いるんじゃないでしょうか。
私の経験上、趣味が仕事だよという人もいるくらいです。
自分としては働いているというような認識はないけれど、周りからしたら働きすぎに見えています。

(3)責任感が強いから
よりいいものを!
締め切りは絶対守ろう!
リーダーだから!
自分の仕事に責任を持っているからこそ、自分で仕事を抱えてしまうこともあります。
今までやっていなかった新しい業務を始めたから、キャッチアップするまで無理してでも頑張ろう!迷惑をかけるわけには・・・!
そんな思いの強さが強みであり、働きすぎを招くことも。

(4)役職と仕事の内容があっていないから
プレイングマネージャーという言葉を聞いたことがある方は多いかもしれません。
現場の仕事をこなしながら、管理職としての仕事も行う人をそう言いますが、単純に仕事が増えただけのケースも。
有限の時間で全部やり切ろうとするからこそ、働きすぎとなってしまいます。

(5)名ばかり管理職であるから
管理職になると裁量が増えるために、時間外の認識が一般の社員と比べて甘くなりがち。
むしろ、一般の社員の時間外労働をチェックするために、管理職が身を削っているという状況もあり得ます。

■働きすぎから抜け出す方法

◇自分の力で改善する方法

(1)業務前に1日のスケジュールを立てる
今日一日の業務時間の中で、何を優先して行う必要があるのかを考えましょう。
優先順位が決まると、スケジュールも決まってきますから、突発的な案件をどのタイミングで受け取ると良いのかといったことも考えられるようになります。

(2)断り方を身に着ける
できないものをできないということ自体は悪いことではありません。
仕事が詰まっているのであれば、引き受けたい意思を示しながら、今の現状を説明し、助力を得られるなら引き受けますといった交渉を行うことも有効です。

(3)生活サイクルを定義する
最低でもこの時間には帰宅し、ご飯を食べて、就寝するという生活のサイクルを定義しましょう。
生活より仕事の方に重みが置かれるときに、働きすぎと言われることになりますから、生活上譲れないラインを作ることも大切です。

◇誰かの力を借りて改善する方法

(1)転職を考える
そもそも、職場自体が過重労働になっている可能性があります。
安易な決断はできませんが、転職して職場を変えるというのは一つの試みといえます。

(2)友達の力を借りる
「働きすぎじゃない?」と言ってくれた友達の力を借りてしまいましょう。
具体的には、休日を合わせるようにするとか、夜連絡を取る時間を設けるとかでしょうか。
友達の生活サイクルに合わせるような働き方をすることで、生活の中に優先順位ができますから、働きすぎを回避することに繋がります。

(3)キャリアカウンセリングを受けてみる
私たちキャリアコンサルタントのもとには、「働きすぎ」で悩んで来られる方も大勢いらっしゃいます。
働きすぎという状態は、仕事と生活のバランスが崩れているという状態ですから、仕事と生活両面からしっかりアドバイスできるキャリアコンサルタントへの相談がとても有効だと思いますし、実際9割程度の人がスッキリされて帰られます。

■仕事が人生の中で大きな位置付けの人への接し方

最近では、仕事の意味を求めたり、自分のライフスタイルを大切にする傾向がとても強くなってきています。
そんな中では、客観的には働きすぎと見えている人もいるのではないでしょうか?
マネジメント層から見ると、もしかしたら働きすぎを疑う状態も見えるかもしれません。
ただ、それを指摘するための何気ない一言や労務管理上の一言が大きなリスクを帯びていたりします。
過去にあった事例で言えば、「誰もが自分を発信し、共有しあえる世の中にしたい」という人生のテーマを持っていた方がおられました。
彼女は、ADとして誰よりも遅くまで動画の編集などのサポートの仕事をしながら、休日はyoutubeを自分で撮り、編集して公開するといったような生活サイクルを送っていました。
相談に来たきっかけは、上司の一言。
「お前、家でも編集の仕事してるみたいだけど隠れて仕事したり、残業に残っても評価されないぞ」
外から見ると休日らしい休日がなく、常に仕事に追われているような印象を持たれているし、評価を求めているように見られているのが嫌だと彼女は告げました。
「評価してもらおうとなんて別に思ってないし、毎回面談でも言ってるんです」
「評価とかお金が欲しかったらこんな仕事辞めてますよ。そもそも残業しないと終わらない仕事量だし、改善もない。報酬だって手取りは17万くらいです。残業付かないんですよ」
彼女は自分の思いが馬鹿にされたようだと感じていたとのことで、結局業界から去っていきました。
これだけモチベーション高く業界のために取り組んでいた人を間接的に辞めさせることに繋がったこのコミュニケーションは、果たして良かったのでしょうか。
もちろん、報酬は大切です。
生きていくためにお金は必要ですし、自分が犠牲になる働きかたは続きません。
「やりがいの搾取」という言葉があるように、「いいように扱われているな」と思われた時点で、志のある人はすぐに去っていくでしょう。
そしてその反対もまた起こり得るんです。
時代は今も変化し続けています。
私が入社したての頃は…といった理屈は一切通用しません。
あなたの会社の報酬や評価で、あなたの何気ない一言で人は辞めていく時代になりました。
これからは会社と個人が本当の意味で対話を深め、一人ひとりのやりがいも考えていく必要があるのではないでしょうか。
これからは働き方改革はもちろん、働き甲斐も改革していく必要があることをみんなが意識していかなければならないのだろうなと思います。

■まとめ

「働きすぎ」は、意外と身近にあります。
テレワークも普及してきており、仕事と生活の境目はますますなくなってきています。
今からでも、自分の生活と仕事の境目をしっかりと考えて、仕事もライフスタイルもどちらも両立させられるような働き方を目指して下さいね!

投稿者プロフィール

木村 俊夫
木村 俊夫
自信が無くて引きこもっていた自分が前に進めたきっかけは「聴いてくれる人」でした。大学卒業後から起業し「聴く」ことをベースに活動をしています。教育、面接、マネジメント、カウンセリング、講師と様々な複業の実践家でもある。
現在は「カウンセリング」の良さを広げる伝道師として活動を続けている。