テレワークと公私混同

テレワークと公私混同

昨日、私も理事として携わっているNPO法人ソサエティ・オブ・キャリアコンサルタント(SOCC)の設立記念オンラインセミナーを実施しました。ゲストは1級キャリアコンサルティング技能士でもあり、臨床心理士、公認心理士、大学特任教授、EAP会社の社長さんでもある「松本桂樹」先生です。

講演のテーマは「テレワーク時代のキャリアコンサルティング」ということで、私たちキャリアコンサルタントが、この時代に何をすべきか、だからこそできることを熱く語っていただきました。もちろん、先生の語調はいつも通り穏やかではありますが、内容は、キャリアコンサルタントへの期待とそれ以上に技術向上を求められていることをバッサリと語っていただき、身が引き締まる思いでした。

さて、そのお話の中で、皆さまにもお伝えしたいキーワードがありました。それがタイトルにもあります「公私混同」です。当初、在宅勤務・テレワークになった時、「やった通勤しないで済む」、「これで満員電車のストレスから解放される・・」と歓迎の声が多くありました。しかし、最近は先生のところにも在宅勤務のためにストレスが増えたと相談に来られることが多くなってきたとのことです。
 確かに通勤は、時間だけではなく満員電車などで体力も奪われる代物です。ただ、その「通勤」という体験によって、私的な空間・時間から、公的な時間・空間へとスイッチが切り替えることができたのです。つまり「通勤」により「私」の確保ができたわけです。

時間と空間の両方の「公私」の区切り・けじめがなくなってしまっていることで、気持ちの切り替えができない、仕事を終えた感がしない。増してや、一旦終えようとしたところ、思い出して仕事をまたやり始めてしまうなどなど・・メリハリがつかず、長時間勤務のように疲労感がたまっているとのことです。

だからこそ、「公私」のけじめをつけるために、働く人が各自で意識・行動によって自律的に区別する必要があるということです。皆さんはどう「区別」をつけていらっしゃいますか?ぜひ、自分に問いかけてみてください。

松本先生のお話の後は、SOCCの理事長でもある「碇 明生」との対談。その後は参加者同士がブレイクアウトセッションで自身の話をしていただき、全体共有として、どんな風に公私の時間と場所を確保しているのかなどの参考例を参加者の方からも語っていただきました。オーソドックスな手ですが目覚ましの活用、しっかりと時間で区切りをつけるという手。「Alexa」に時間を教えてもらうということを実践されてるお話が聴けました。

このように、時間・空間を意識したちょっとした工夫で、メリハリ付けた環境へと変化させることができるのではないでしょうか?
 通勤がない分、仕事始まりと終わりに軽く歩いてみる。手帳にしっかりと仕事時間のスケジュールを記入し、時間割のようにタイマーを活用してみる(さながら学校の授業の鐘のように?)とか。もちろん、そのあとは意識的にプライベート時間を確保し、仕事場所から離れて趣味や買い物などを入れてみるのはいかがでしょうか?

半強制的とも言いたくなるような、降ってわいてきたようなコロナ禍における大きな働き方改革・・コロナのせい、誰のせいとするのではなく、自分で振り回されずにコントロールしていく力、自律という言葉がここにも当てはまっていくのだろうと感じました。ぜひ、トライしていただきたいと思います。
 しかし、今までは会社や上司の指示を守って動いていくことを得意として自律が苦手な方もいらっしゃいます。また、これで良いのかなぁと、変えていくためにちょっと背中を押してほしい人もいらっしゃると思います。そんな方の支援にこそキャリアコンサルティングが必要なんだということも改めて感じました。そういう方は遠慮なく相談にいらしてくださいね。一緒に少しづつ変えていきましょう。