【第8回】「パワハラです!」と言われないための指導ポイント

【第8回】「パワハラです!」と言われないための指導ポイント

「部下の成長のためにも指導は必要!」
頭ではわかっていても、いざ指導しようと思ったら言葉が出てこないもの。
また、言葉は出てきても、感情的になってしまって、「パワハラだ」と叫ばれるケースも…

そんな部下指導に悩むあなたに向けて、今回は、パワハラと言われない「上司と部下の間での指導のポイント」についてキャリアカウンセラーの木村からお伝えいたします。

※パワハラの定義は、以前の記事をご覧ください。
【第6回】高圧的な人との人間関係を改善しよう

指導のポイント7つ

そもそも、どうして「指導」は難しいのでしょうか?
その理由は簡単で、あなたと部下の間で育ってきた環境も、文化も違うからです。
しかし、たとえ文化が違っていても私たちは同じ人間のはず。
言葉は通じなくても、思いが伝わるという話には枚挙に遑がありませんよね。
今回お伝えするのは、相手が育つのを祈り、支援し続けるための7つのポイントです。

『かりてきたねこ』

これが、部下に思いを伝え、効果的に指導するためのキーワードです。
さっそく一つずつ見ていきましょう!


【か】:感情的にならない
部下のミスを挽回するのも上司の仕事です。
仕事とはいえ、失敗を肩代わりするのですから怒りたい気持ちも湧いてくるものですよね。
時にはその怒りをぶつけてしまいたくなることもあると思いますが、手の親指を握ってグッと我慢。
6秒耐えれば冷静になれると言われています。


【り】:理由を伝える
理由を伝えなければ、何を改善して良いのか分かりません。
ポイントは、「起きたことを明確に」です。
✕:お客様から怒られました。反省して下さい
〇:お客様からご連絡が遅いと苦情が入っていますよ。


【て】:手短に終わらせる
長くなってしまえばしまうほど、相手に嫌な時間を与えてしまいます。
また、パワハラという視点で考える際は、周りからどう見えるかも考えましょう。
1時間、上司と二人で会議室。
本当に有意義な振り返りを過ごしたとしても、他の人から見たらどうでしょうか。
もしかしたら、密室で長いこと叱責をする上司だと映っているかもしれません。


【き】:キャラクターに触れないように
あなたにも部下にも、きっと言われたくない一言があるはずです。
その部分に触れないようにすることが大切です。
言われたくない部分は人によって違うもの。
普段、自分から言うのはいいけど、人に言われることは嫌だという人もたくさんいます。
ご注意くださいね。
〇:私、大雑把な性格なんですよ
✕:お前は大雑把な性格なのがいけないな。


【た】:他人と比較しない
指導は、ミスをした人の成長を願うものです。
部下が何人いようとも、目の前の人は世の中でその人だけ。
誰かと比較して「できていない」というレッテルを張ることは避けましょう。
✕:同じ新入社員なのに、なんでお前はできないんだ?


【ね】:根に持たない
指導する際は、「今起きたこと」に限ります。
過去のことまで一緒に指導を行っていくと、焦点が定まりません。
ご自身に置き換えて考えてみてください。
「今回の書類のミスだけじゃなく、前はお客様にも怒られていたよな!」
なんて言われたら、ちょっと嫌な気持ちになりませんか?


【こ】:個別に指摘する
他の人がいる前で指導しないようにしましょう。
「他の人にもミスをしてほしくないから…」
なんて思うこともあるでしょうが、指導の機会と共有の機会を分けるようにすると良いでしょう。
これをしなかったために、「吊し上げ」と揶揄されることとなった上司を私は知っています。


いかがでしたか?
指導する際には毎回7点のポイントがあるわけでもありません。
ただ、一つ欠けるだけで、印象がずいぶん違ってしまうということもよくあります。
さらに、1点の失敗が「パワハラです」に繋がることも実はよくあります。
気を付けてみて下さいね。

最後に

あなたはどんな思いを部下に届けたいでしょうか?
部下にどうなって欲しいですか?
答えは千差万別かと思います。

上手な指導はスキルです。
あなたのココロを相手に届けるための心がけといいかえても良いかもしれません。
個性を大切にする時代ではありますが、『かりてきたねこ』のように、まずは愛される上司を目指してみてはいかがでしょうか?


「カウンセラーが教える人間関係改善術」は今回が最終回となります。
来月からは別のテーマでお届けしますので、お楽しみに!

投稿者プロフィール

岸まゆみ
岸まゆみキャリアカウンセラー
2010年より介護サービス企業の法務に10年間携わり、マネジメントも経験。自分がカウンセリングを受けて気持ちが楽になったことからカウンセラーになることを決意。2020年より生活保護受給者の就労支援カウンセラーとして従事した後、2021年10月にキャリアブリッジへ入社。2021年よりフリーのキャリアカウンセラーとしても活動中。