全ての悩みは「対人関係の悩み」!?~他人と自分を比べてしまう理由~

全ての悩みは「対人関係の悩み」!?~他人と自分を比べてしまう理由~

アルフレッド・アドラーによる個人心理学(以下、「アドラー心理学」と言います)において、「人間の悩みは全て対人関係の悩みである」と言われています。


今回は、「全ての悩みが対人関係の悩みである」とはどういうことなのか、「人はなぜ他人と自分比べてしまうのか」について解説します。

全てが対人関係の悩みってどういうこと?

「人間の悩みは全て対人関係の悩みである」というのは、世の中の全ての悩みは、「人が2人以上いることによって発生している悩み」だということです。


例えば、この世界に生きているのがあなた1人だけで、他には誰1人いないとしたら…


他人がいないので、もちろん苦手な人も好意を持てる人も、誰も存在しません。
そうなると、人とのコミュニケーションの悩みが全てなくなりますね。

こんな悩みも「対人関係」

人との直接的な関係(コミュニケーション)以外でも、悩みというのは色々ありますよね。


例えば、「劣等感を持ってつらい」という悩み。

・目が小さい
・髪の毛が天然パーマ
・暗記が苦手

などなど…


このような悩みは、自分以外の誰かと比べることによって発生しています。
ただし、この世にあなた1人しかいないとしたら、どうでしょうか?


あなたの見た目や能力など、あらゆることについて比べる相手がいません。
そうすると、「こういうものなんだ」と自分を受け入れるしかなく、悩みようがないのです。


このように、自分以外の誰かが存在していないとあらゆる悩みは発生しません。
だから、「人間の悩みは全て対人関係の悩みである」と言われているのです。

なぜ他人と自分を比べてしまうのか

誰かと比べるから悩みが発生するのに、なぜ人は、他人と自分を比べてしまうのでしょうか?

原因論と目的論

アドラー心理学では「目的論」という考え方をします。
目的論とは、人は必ず何かの目的があって今の状況を作り出しているという考え方です。

そして、目的論に対して「原因論」という考え方があります。
原因論とは、過去の出来事が現在の状況を作っているという考え方です。

それぞれの考え方について例を挙げるとこのようになります。


原因論:
「仕事で上司に怒られたから落ち込んでいる」

目的論:
「落ち込みたいから、上司に怒られたことを持ち出している。」

他人と比べることにメリットがある!?

そして、この考え方を元に「なぜ人と比べてしまうのか?」の答えを言うとすれば

劣等感を持ちたいから人と比べている。

というような感じになります。


なぜ劣等感を持ちたいのか?と言うと

・人からなぐさめの言葉をもらいたい
・落ち込みたい

などなど、理由はたくさんの可能性があります。


落ち込みたくて落ち込む人なんていない!
と思われるかも知れませんが、実は、落ち込んでいることによるメリットがあるのです。

それは「行動しなくて済む」ということ。

もちろん、落ち込んでいる方は、頭でこんなことは考えていません。


しかし、無意識にメリットを感じて「落ち込む」という選択をしているのです。
このように、私たちが本来味わいたくない嫌な感情も含めて私たちのすべての行動には目的があると考えるのがアドラーによる「目的論」です。

アドラー心理学を日常生活に活かすには


「目的論」の考え方によれば、何か嫌なことがあったり、イライラ・モヤモヤを感じたりしたら、「何か目的があって、無意識にメリットがあると思ってその感情を感じている」ということです。

あなたが日常生活で無意識にやっていることや、無意識に感じる感情について

「私は何の目的でこれをやっているのだろう?」

という視点で考えてみると、何か変化の糸口が見つかるかも知れません。

最後に

今日は、私が好きなアドラー心理学について書いてみました。

『嫌われる勇気』という本で一躍有名になった考え方なのでご存じかも知れませんが、この本を読んだことがある方にもそうでない方にも参考になる内容ではないかと思います。

私も無意識でいると人と比べてしまうことがあります。
そんな時はこのアドラー心理学の考え方を思い出し、人に惑わされずに自分らしく生きていこうと思います!

投稿者プロフィール

岸まゆみ
岸まゆみキャリアカウンセラー
2010年より介護サービス企業の法務に10年間携わり、マネジメントも経験。自分がカウンセリングを受けて気持ちが楽になったことからカウンセラーになることを決意。2020年より生活保護受給者の就労支援カウンセラーとして従事した後、2021年10月にキャリアブリッジへ入社。2021年よりフリーのキャリアカウンセラーとしても活動中。