メンタルヘルスの4つのケアとは?(事業場外資源によるケア)

メンタルヘルスの4つのケアとは?(事業場外資源によるケア)

キャリアカウンセラーの岸まゆみです。

厚生労働省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」の中で示されているメンタルヘルスの4つのケアについて、4回に渡ってお送りしています。

本日の記事で紹介するのは4つ目のケア「事業場外資源によるケア」についてです。

事業場外資源によるケアとは

「事業場外資源によるケア」とは、会社以外の専門的な機関や専門家を活用し、 その支援を受けること。「事業場外資源」とは、会社以外でメンタルヘルスに対応してくれる機関のことです。厚生労働省の指針には下記のように示されています。

・情報提供や助言を受けるなど、サービスの活用
・ネットワークの形成
・職場復帰における支援、など

「労働者の心の健康の保持増進のための指針」厚生労働省

つまり、「会社内だけではなく会社外の専門家などの支援を受けることによってメンタルヘルスケアをしましょう」ということですね。

上記の指針の中には、どんな機関や専門家を利用すれば良いのか、具体的には書かれていません。「会社以外」となると非常に範囲が大きくなるのですが、「事業場外資源」にはどんな機関があるのか、簡単に紹介させていただきます。

医療機関(メンタルクリニックなど)

心療内科や精神科の病院・クリニック・診療所などの医療機関は「事業場外資源」となります。メンタルに不調を感じた際に利用する機関として、最も身近でイメージしやすいのではないでしょうか?

皆さんのご自宅の周りには、メンタル不調に対応できる医療機関がありますか?
地域によっては、あまりなじみがないかも知れません。あるいは、実際に近所を歩いてみると、意外とメンタルを扱っている医療機関があることに気づくかも知れません。

「〇〇メンタルクリニック」や「〇〇こころのクリニック」という、メンタル専門の機関もあれば、他の診療科目と合わせて対応している機関もあります。

メンタル不調を感じていても「何となく病院には入りにくい」「うつだったらどうしよう」などの不安から、医療機関を受診することをためらってしまうかもしれません。

しかし、最近は綺麗なクリニックも増えており、受付後は名前を呼ばれずに整理番号で呼ばれる等、プライバシーに配慮した対応をしてくれる機関も多いです。
就業可能かどうかの判断もしてくれるので、何かメンタルに不調を感じた時に相談できる場所として活用できます。

地域保健機関

「地域保健機関」とは、精神保健福祉センターや保健所のことです。

精神保健福祉センターは、各都道府県に最低1か所あります。最近では、コロナワクチンの接種会場になっていたりしますが、地域でメンタルヘルスに関して悩む本人や家族からの相談を受け付けています。

保健所は各都道府県に数か所あり、結核や食中毒などメンタルヘルス以外の疾患も含めて、健康や衛生面などを広範囲に扱っています。
メンタルヘルスのケア面では、精神保健福祉センターと同様に、本人や家族の悩みに対して、医師、看護師、保健師などの専門的な相談が可能になっています。精神保健福祉センターよりも地域密着型のため、その地域ならではの事例や対応方法を知ることもできます。

従業員支援プログラム(EAP)機関

EAPとはEmployee Assistance Programの頭文字をとったもので、日本語にすると「従業員支援プログラム」の総称です。

EAPの役割としての主軸は、従業員の方に対するカウンセリングです。
外部機関だからこそ、従業員が社内での悩みなどを打ち明けることができます。

心理士をはじめとして、心理学などの観点からサポートを続けてもらえますが、医学的な介入が必要と判断された時は、適切な医療機関の案内なども行っています。

また個別のカウンセリング以外にも、企業に対してメンタルヘルスのセミナーなどを行っているEAPもあります。

EAPを上手く活用することで、メンタルヘルス不調に悩む本人だけでなく、そのサポートを行う周辺の従業員全体にとっても、ケアに関して多くの学びが期待できます。

まとめ

本日は、「事業場外資源によるケア」についてお伝えしました。
会社外の資源だからこそ、どんな機関があるのかを知らないと活用することはできません。この機会に、近所や職場近くの「事業場外資源」をリサーチしてみてはいかがでしょうか?

今回で「メンタルヘルスの4つのケア」の紹介は終わりです。
これまでに紹介した3つのケアについての記事も合わせてご覧ください。

【メンタルヘルスの4つのケアとは?】
セルフケア
ラインケア
事業場内産業保健スタッフ等によるケア

投稿者プロフィール

岸まゆみ
岸まゆみキャリアカウンセラー
2010年より介護サービス企業の法務に10年間携わり、マネジメントも経験。自分がカウンセリングを受けて気持ちが楽になったことからカウンセラーになることを決意。2020年より生活保護受給者の就労支援カウンセラーとして従事した後、2021年10月にキャリアブリッジへ入社。2021年よりフリーのキャリアカウンセラーとしても活動中。